WORKS

不良息子の肖像

2021.11.16 蔡 海、福原志保

がんとは通常ネガティブな言葉である。
しかしながら、摘出されても生き続けられる悪性腫瘍は再生医療の研究対象でもある。
元より、がん細胞は自身が産み落とした子供であり、患者は向き合い続けなければならない。
そのような細胞のことを福原は「不良息子」と呼んだ。
医師たちはがん細胞の性格を「顔つき」と表現する。
私たちは顔がないのに顔つきを見られる不良息子の肖像を想い描き、細胞膜のように薄い土佐典具帖紙の工芸技術によって、透き通る肖像画が完成した。